社内問合せ用にAIチャットボットを導入する企業の典型的課題とは?3年間セールスに従事する営業担当が語る
業界初の'社内問い合わせ専用'のAIチャットボットとして、2016年にMy-ope officeはサービスインしました。本コラムでは、サービス立ち上げ時から今日まで、約3年間に渡りセールスに従事してきた弊社営業担当が、企業様から寄せられるご相談と日々向き合う中で、今感じる企業の典型的な課題について述べていきます。
こんな企業課題を抱えていればチャットボット導入は有効
社内問い合わせ用にAIチャットボットの導入を検討する企業のうち、約9割近くが、勿論のことながら社内問い合わせに纏わる課題を抱えています。逆に言うと、残りの1割ほどは別の理由で導入を検討されています。このお話は後述します。
まず社内問い合わせに纏わる課題は、情報システム部門やICT統括部門で抱えていることが多くあります。社内のパソコンやネットワーク環境に関する問合せ、社内システムの使い方に関する質問などが殺到するあまり、その1次対応窓口をなんとかチャットボットに任せたいというご相談です。次に多いご相談としては、人事部や総務部に来る各種社内書類や手続きの申請方法・フロー・該当担当者に関する質問をチャットボットに対応させたいというものです。いずれの場合も部門系統が違うだけで、用途としては同じです。
どんな企業でよく導入されているか?
企業規模としては、幅広く、傾向はありません。あえて言うならば、100名以下の企業で使われるケースはごく稀です。ほとんどが100名以上、もっとも大きい企業で数万名規模の従業員を抱えています。コアレンジとしては、1000名前後の組織が多いように感じられます。そもそも大企業よりも中堅企業のほうが世の中には多く存在するので、これは当然のことと考えられます。
業種についても様々ですが、よくご相談が寄せられる例としては、大きく2パターンに分けられます。1つ目が、ほぼ本社だけで利用する企業です。東名阪いずれかに本社を構え、社員もほぼ本社拠点に集まっています。他2~3拠点が全国主要都市に散らばっており、そこからの利用も勿論できる状態で導入されますが、メインは本社機能への導入です。2つ目が全国的に店舗展開をしている企業です。不動産チェーンや小売チェーンなど、全国にある拠点から、店舗運営に必要な備品やOA機器、ネットワーク環境に纏わる問合せ等をチャットボットで受けるため導入されます。
社内問い合わせ用チャットボットが教育担当者として活躍
冒頭で申し上げた社内問い合わせ対応以外の使い方を紹介します。社内ナレッジの蓄積ツールとしてチャットボットを導入し、新入社員教育の際に、基本的な事柄への疑問はまず全てチャットボットに質問する体制を作られるケースです。毎年、新卒で新入社員を受け入れる大企業や派遣社員の入れ替わりが多い会社などで、何度も同じことを教える手間を省くため、AIチャットボットに基本的な質問対応をすべて任せるという事例です。
またこの活用事例は、インバウンドのコールセンター(カスタマーサポート)でも活かされています。一般のお客様からの問い合わせに、新人スタッフでもすぐに正確な回答できるよう、分からないことがあれば、お客様と電話をつないだままチャットボットにその場で質問し、得られた回答をスタッフからお客様に伝えるというものです。そうすることで、カスタマーサポートの対応品質を一律に底上げできると同時に、2次・3次対応の受電コール数比率を下げることができます。
AIチャットボットが定着する企業、しない企業
AIチャットボットが現状課題に対するソリューションになり得ると判断し導入に至った場合でも、実際に社内で定着する企業もあれば、定着しない企業も存在します。最後に、この違いについて述べます。
定着阻害因子と考えられる原因はさまざまで、すべての企業においてこれと断定することはできませんが、必ず定着しない企業の条件として挙げられる原因がひとつあります。 それは、良い買い物は出来ているが、良い使い方がされていないケースです。色々なチャットボットを比較検討し、自社に最適なものを選ぶところまでは良いのですが、実際に導入を進める上で、ユーザー体験を一切考えないまま社内公開に踏み切る企業は定着に失敗すると言えるでしょう。エンドユーザー(社員)がどのような状況下で、どのような期待を持ちチャットボットに話しかけてくるのか、それを想像し会話データに落とし込んだり、対話履歴を分析改善していくことが、担当者には求められます。良いツールさえ入れれば、皆がその価値を勝手に感じ、自然に使ってくれるということは残念ながらありません。これは、もしかするとAIチャットボットの導入だけに限らず、あらゆる社内ツールの新規導入における本質的な問題なのかもしれません。