チャットボットの導入4事例紹介。失敗しないためのポイントとは
チャットボットを導入する企業は、年々増えています。
実際に導入事例を確認し、どのようなメリットがあるのかをより具体的に把握しましょう。
また、チャットボットを導入するにあたって失敗しないために押さえておくべきポイントも解説します。
チャットボットとは
チャットボットは、チャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉で、AIを用いた自動で会話ができるプログラムのことを指します。
チャットボットは1960年代頃から初期型が登場しており、今やsiriをはじめ、音声入力すら可能にしています。そんなチャットボットの仕組みや、導入するメリットについてまずは見ていきましょう。
仕組みの解説
チャットボットは「アプリケーション」と「ボット」をAPI(外部アプリと機能を共有するシステム)を用いて連携する仕組みです。
ボット内でユーザーから送られた言葉を解釈し、返答する言葉を生成します。
それをAPI経由でユーザーの元へと届けるというルーチンを行っています。
人工知能(AI)を導入したチャットボットでは、ユーザーから送られた言葉を蓄積し、学習してさらにスムーズな返答を行うよう自ら進歩する種類もあります。
導入のメリット
チャットボットを導入することにより、もっとも大きな恩恵は「これまで有人で行っていたタスクを、自動でこなせるようになる」ということでしょう。
商品やサービスに寄せられるユーザーからの質問や、社内からあがってくる問い合わせなどについて、オペレーターや社内スタッフが対応していたものを、チャットボットが自動で対応してくれるようになります。
これにより、大幅なコスト削減や業務効率化が見込めるようになります。
また、ユーザー視点でも、回答を待たされることがなくなる、相手が機械なので気兼ねなく質問できるなどのメリットがあり、気軽に問い合わせられるというメリットにつながります。
結果、ユーザーからの問い合わせも増え、データの蓄積やユーザーとの接触回数の増加につながるのです。
チャットボットの導入事例
実際にチャットボットを導入したことにより、業務改善を行った事例を4選紹介します。
ヘルプデスクのコスト削減例
大京は、はじめて不動産業界で社内ヘルプデスク業務にチャットボットを導入しました。
6000人もの社員を抱える同社では、毎月1500件もの入電件数があったと言います。
このヘルプデスクへの入電件数を減らすことが、会社全体の業務改善につながると考え、IBMのAI「Watson」と連動したチャットボットの導入に踏み切りました。
結果、同社では毎月の入電件数が半年後にはおよそ30%削減され、問い合わせに関する業務が削減できたと報告されています。
自動応答と有人対応を組み合わせた例
ライフネット生命は、保険を検討中の顧客に向けてLINE・Facebook Messengerでチャットボットによる自動応答を活用したサービスを提供しています。
保険の診断から保険料の見積もり、簡単なFAQはチャットボットが対応し、より詳しいプランニングや質問などについてはオペレーターが対応するといった、自動応答と有人対応を組み合わせて活用しているのが特徴です。
ユーザーにとっては営業を受ける心配などもなく、気軽に問い合わせられるようになり、会社側にとっては有人対応がある程度不要になるのでコスト削減や業務効率化につながるのです。
さらに、位置情報や顧客情報などがチャットと連携しているため、ユーザーは自分のツールのような感覚で使用することができます。
ユーザー利便性と業務効率化の例
ヤマト運輸は、近年、LINEを活用したチャットボットによる問い合わせ受付を行っています。
LINEの公式アカウントを追加するだけで、配送確認や届け日の変更、その他の問い合わせをすべてチャットボットで行うことができる仕組みです。
オペレーターの作業コストを削減するだけでなく、配達員のコストも削減することができるので、ヤマト運輸の業務に大いに役立っています。
自治体で活用されている例
チャットボットが自治体で活用されている例もあります。
横浜市では、ゴミの分別に関する問い合わせを、チャットボットで対応しています。
捨てたいゴミを問い合わせると、チャットボットがゴミの分類を返信してくれるサービスです。
マスコットのイーオが会話形式で対応してくるので、見た目が楽しいのも魅力でしょう。
検索する手間が省ける便利な活用事例と言えます。
失敗しないためのポイント
チャットボットを導入しても、思ったような効果が得られないといった失敗ケースを回避するためにどのような点に注意すべきでしょうか?
ポイントを解説します。
使ってもらう工夫
チャットボットを導入したら、それを浸透させる工夫が必要になります。
単純なプログラムによる機械的な返信をするだけの機能や、以前に答えられなかった質問を数カ月後に投げ掛けたときに、以前と同様に返答が得られないといったように進歩が見られない場合、ユーザーはチャットボットを再び使おうとは思わないでしょう。
その場合、チャットボットが誰にも使われず、導入コストの分だけ損をしてしまう可能性もあります。
チャットボット内のデータを更新して毎回違ったデータが閲覧できたり、ボットにマスコットを用いてユーモア性を持たせるといった工夫で、ユーザーが使っていて面白い、また使いたい気持ちを高める工夫をしましょう。
部署間の連携
チャットボットを導入する際は、他部署と連携して導入を進めていくことも大切です。
単独部署で導入準備を行うと、他の部署の内情がわからずに、チャットボット公開後に想定していない質問が殺到し、結果としてチャットボットが答えられずに形骸化してしまうことが考えられます。
どのような質問が多く寄せられるのか、また回答についても他部署と連携した上で導入を進めていくことが重要です。
まとめ
チャットボットを導入する企業は今後さらに増えてくるでしょう。
他社の導入事例に学び、自社でどのようなタイプのチャットボットを導入するのか、またどのように普及していくかを検討することが重要です。
導入後も定期的にデータを更新したり、部署間で連携をしっかりと取り合ったりすることで、チャットボットが形骸化しないよう工夫することも重要です。