2020年6月12日
チャットボットやAIについて知ろう。仕組みや種類を丁寧に解説
チャットボットや人工知能(AI)はさまざまな場所で利用され始め、ますます注目されています。
それぞれの特徴を学び、自社のビジネスに取り入れることでどのような効果が見込めるか、正しく判断できるよう仕組みや種類を紹介します。
チャットボットとは
経費削減や業務効率化に役立つと注目されているチャットボットとは、どのような仕組みを持つプログラムなのでしょうか?
チャットボットの基礎的な知識を解説します。
自動で対話するのがチャットボット
『チャット(会話)をするボット(ロボット)』のことをチャットボットと言います。
ロボットとはいっても、多くの場合は人型や動物型をしているわけではありません。
自動で会話をするプログラムです。
会話もAIスピーカーのように音声で行うものもありますが、多くは文字入力に回答する形で行われます。
よく見かけるのは、Webサイトの右端に小さく入力箇所が表示されているタイプです。
質問をここに入力することで、チャットボットがぴったりの回答を自動的にしてくれます。
AIとの違いは「学習」「推論」の有無
自動で会話ができるチャットボットは、あたかも自分で考え回答しているように感じられます。
しかし、それは、『人と会話しているように感じるプログラム』として作られているからです。
AIと融合した仕組みも作られてきていますが、チャットボットは基本的には、事前に記録されたシナリオに合わせて回答を行うプログラムとして機能しています。
一方、AIの特徴は『学習・推論・判断』をすることです。
自分で考え判断して動きますが、その結果の回答は会話らしくないこともあります。
人間同士のコミュニケーションのようになることに重きを置いて作られているのが、チャットボットといえるでしょう。
1960年代に登場 2010年代から進化
チャットボットの登場は1960年代のことでした。
入力したテキストに相づちを打ったり、そのまま聞き返したりする『ELIZA(イライザ)』が代表的です。
メジャーなツールに取り入れられたチャットボットとしては、Office97に搭載されていたイルカのアシスタント『カイル』をご存じの方も多いのではないでしょうか。
比較的最近では、2011年からiPhoneに搭載されている『Siri』があります。
iPhone上のアプリやインターネットと連携することで、さまざまな質問に音声やテキストで回答するプログラムです。
ここ数年では、WebサイトやSNSにチャットボットを手軽に取り入れられるようになり、ビジネスへの活用も積極的に行われています。
チャットボットの種類
同じチャットボットでも、どのような仕組みで会話をしているかは異なります。
また、サービスの種類によっても違いが出てくるでしょう。
チャットボットの種類を紹介します。
AI型やシナリオ型の2種が主流
主流になっているチャットボットは『AI型』と『シナリオ型』です。
AI型は、入力された質問に対し、膨大なデータをもとに解析して、ぴったりだと考えた回答をします。
プログラム自身が考え、答えを導き出すのです。
その際、答えを間違えると、間違いであることを学習し回答の精度を高めていきます。
シナリオ型はプログラム自身が考えることはしません。
あらかじめ決められたルールに従って、決められた回答をするプログラムです。
例えば、Webサイト内のFAQの記載や、シナリオをベースに回答します。
言語処理やSNS連携などのサービス存在
サービスの種類によっても、チャットボットを分類できます。
例えば、SNSとの連携が可能になる『メッセージングAPI』もその一つです。
導入すると、SNSでチャットボットを利用できます。
チャットボットの本体ともいえる『チャットボットAPI』とセットで提供されることが多いのは、『言語処理システム』や『Webチャット』です。
これらのサービスを活用すると、自社の問い合わせ窓口として機能させることで業務効率化の推進に役立てたり、運営するECサイトを利用するユーザーの利便性を高めたりできるでしょう。
比較のためのポイント
ビジネスにチャットボットを取り入れる場合、さまざまなプログラムからぴったりのものを選ぶことが大切です。
そのために役立つ、比較ポイントもチェックしましょう。
アルゴリズムやサービスをチェック
まずは、どのようなアルゴリズムかをチェックします。
より人間に近い会話を求めるならAI型がよいですし、単純な回答でよい窓口の役割なら、シナリオ型で十分かもしれません。
シナリオ型には、さらに下記の4種類があることも知り、ぴったりのものを選びましょう。
ログ型
選択肢型
辞書型
選択肢&辞書型
シンプルなアルゴリズムに言語処理的概念がプラスされた『ログ型』は、使うほど回答の精度が高まるのが特徴です。
『選択肢型』はユーザーに選択肢に応えてもらう形で回答を導きます。
登録した複数の単語に反応する『辞書型』では、会話のような問い合わせが可能でしょう。
また、選択肢型と辞書型を使い分けられる『選択肢&辞書型』もあります。
導入目的とサポート体制で選ぶ
ビジネスに生かすには、チャットボットの導入目的と、それに見合ったサポート体制があるかどうかも確認しましょう。
一対一対応で回答できるような単純な質問にだけチャットボットで対応し、その他は有人対応に切り替えるという使い方であれば、シナリオ型が向いています。
シンプルなプログラムであれば、自社開発でも十分かもしれません。
ビッグデータを活用したい・高い回答精度のプログラムを使いたい、という場合には、必要なサポートの整ったサービスを利用しましょう。
導入支援・操作に関するサポート・コンサルなど、必要なサポートを洗い出しておくことで、選びやすくなります。
まとめ
自然な会話に重点を置いて進化したチャットボットと、自ら学習・判断し答えを導き出すAIは、基本的には違う仕組みで成り立っています。
近年は、チャットボットにAIが融合し、より高度な処理もできるようになってきました。
さまざまな機能やサポートがついたチャットボットがありますが、ビジネスに生かすなら、自社に必要な機能やサポートを過不足なく備えたものを選ぶとよいでしょう。