自治体がチャットボットを活用する必要性 文京区・港区を例に

地方創生や働き方改革について頻繁に議論されるようになった昨今。その中でも、自治体における業務効率の向上は最たる課題の一つです。

そこで、業務効率の向上に大きく作用するチャットボット(自動会話プログラム)は、その有用性を買われ多数の自治体で導入が検討されています。また、人間に代わって自治体への問い合わせに対応するチャットボットを手軽に作成することのできるサービスも登場しており、いち早く時代の流れに乗りチャットボットを導入した文京区は、既に「ごみ分別案内サービス」を企業と共同運用を開始しています。港区では、「AIチャットによる外国人向け生活情報案内サービス」を提供しています。

そこで、今回は自治体におけるチャットボットの導入について文京区や港区を例に、ご紹介していきます。

チャットボットとは

トーク

「人工無脳」や「人工無能」と呼ばれるチャットボットは、人工知能(AI)を活用し生成された「自動会話プログラム」ことを指します。

類似性のある身近なものであれば、ビジネスの現場で導入が進むチャット型のクラウドサービス「chatwork」や「slack」は、すでに馴染みがあるかもしれません。また今までは人間の行う必要のあったデータやタスクの処理を代替的に行う自動化させたプログラムのことを「ボット」と呼びます。この「チャット」と「ボット」を掛け合わせてできた造語が「チャットボット」です。

自治体における業務の現場では、チャットボットの活用によって人間の業務を代替し業務効率が格段に向上する物事が無数に存在します。例えば、民間からの問い合わせは、チャットボットで代替することで人員の削減に寄与し、これによって業務効率の向上に直結します。

そこで、人手不足の解消や業務における効率化を目的として、チャットボットの導入が注目されるようになっています。

自治体におけるチャットボットのメリット

役所のような自治体は特に受付時間が限定的である場合が多く、ユーザーにとっては不都合です。多くの自治体では平日の9〜17時前後の対応のみという場合がほとんどでしょう。すると、ユーザー側であれば

  • 受付時間が合わない
  • 待ち時間が長い

という経験があるのではないでしょうか。しかし、チャットボットを導入することによって、

  • 24時間対応が可能
  • 待ち時間の軽減

という恩恵を受けることができます。

自治体側であっても、

  • 業務効率の向上のよるユーザー満足度の向上
  • 効率化によるオペレーターの付加価値向上

など大きなメリットがあります。

自治体におけるチャットボット導入の背景

38958eb7797893c335795422962d5284 m

政府の重要政策として掲げられている「働き方改革」や第二次安倍政権で掲げられた「地方創生」これらの政策が後押しし、自治体における業務効率化のためにチャットボットの導入や検討が進んでいます。

少子高齢化による人手不足に頭を悩ませている自治体はあとを立ちません。さらに現状では人手が足りている自治体においても、今後はさらに少子高齢化は進むと懸念されています。つまり、先を見据えた業務改善を人手の足りている現在から行わなければ、現在人手不足に苦しむ地方自治体のように、後になり嘆くことになりかねません。

そこで、そんな未来を見通し導入しているのが文京区や港区です。両者は人口が増加している東京に所在していますが、先を見据え、このような取り組みを行っています。

少子高齢化による生産年齢人口の減少

先述した人手不足ですが、その問題について議論される場合、総人口減少について取り上げられる場合が多い傾向があります。しかし、最も問題になるには総人口の減少ではなく15〜65歳の生産年齢人口の減少です。これは主に経済を動かす層であり、言い換えればお金を稼ぎ消費する層のことです。自治体にとっては、この生産年齢人口の減少が最も大きな問題です。特に地方自治体はこの件に対して早期に対応していかなければなりません。

これに対応するためには、1人あたりの生産性や自治体における効率向上を目指す必要があり、これに効果的なのがチャットボットなのです。特に地方自治体に従事されている方は、このような新規性のある物事に対して、文京区や港区を例に早い段階で導入の検討していく必要があります。

文京区が導入した「ごみ分別案内サービス」

自治体におけるチャットボットの導入が検討されている中で、いち早く導入したのが文京区です。こちらのサービスでは、ごみの分別や収集に対する質問に対して24時間365日会話形式で解答してくれます。ネット検索かQRコードの読み込みによって、サービスを利用することができます。一見それほど業務に関して網羅的に対応しているわけでもなく、このサービス自体に大きな付加価値がついているわけではありません。

そこで重要なのが、このようなサービスを導入しているという自治体側の体制です。チャットボットを自治体に導入すること自体はそれほど困難な問題ではありません。しかし多くの自治体で導入が検討段階にあり、なかなか導入に踏み切れる自治体は多くありません。

今後チャットボットを含めAIやIOTなどテクノロジーの台頭は加速していく一方ですが、そこで自治体に求められるのは、そのようなテクノロジーに早期に対応していく姿勢なのです。

そもそも自治体は企業体とは異なるので、何かを生み出しそれ自体で経済効果を生み出すわけではありません。民間を管理し生活を守り豊かにするのが本来の役目のはずです。

すると自治体は、時代の流れを早い段階で的確に捉え民間に波及していく必要があります。つまりチャットボットのようなテクノロジーを導入しポジティブに捉え、民間をひっぱっていく指針になるべきなのです。

港区が導入した「AIチャットによる外国人向け生活情報案内サービス」

こちらは、文京区の様な「ごみ分別案内サービス」に加え、防災や教育、国際・文化の情報を映画と噛み砕いた日本語で回答してくれるサービスです。日本経済の中心地とも言える港区は2017年に実証実験を開始し2018年には正式にリリースを開始しています。

さらに、こちらのサービスでは、既存の港区のFacebookページを活用し、Facebook内のメッセンジャーによってチャットボットを運営しています。既存の環境を有用的に活用するという面で、これから導入を検討している自治体の良い例になるでしょう。