累計問合せ対応削減時間3000時間超!社内AIチャットボット導入事例。九州旅客鉄道株式会社(JR九州)
社内問い合わせ対応にAIチャットボット「My-ope office」を利用する九州旅客鉄道株式会社の導入成功事例をご紹介します。今回、チャットボット導入プロジェクトをご担当された同社IT推進部の古庄さんにインタビューさせて頂きました。
九州旅客鉄道株式会社 会社概要
Q.貴社の事業内容について教えて下さい。
A.弊社では旅客鉄道事業を基礎に、運送事業、旅行業、広告業など、九州地方を中心に展開しています。
事業が多角的であるがゆえ、取り扱う情報量も多く、結果として社内問い合わせが多くなります。また、鉄道事業が特にそうですが、正確な業務遂行が求められます。業務フローや規則を社員がきっちり把握するためにも、社内問い合わせに関する課題には、高いレベルでソリューションが求められます。
AIチャットボットの導入について
Q. ご利用人数(エンドユーザー数)について教えて下さい。
A.社外への出向者を除く、ほぼ全社員、約6,000名が利用しています。現在、導入している部門は、財務部門、人事部門、営業部門、総務部門、システム部門で、各部門に1台ずつ、合計5つのAIチャットボットが稼働しています。
Q. AIチャットボットを社内導入しようと思われたきっかけは?
A.はじめは財務部門への導入から検討しました。当時、次の3つが課題にあがっていました。①電話による問い合わせ対応の効率化・省略化、②複数部署から寄せられる同一質問への対応の効率化、③チャットボットを用いたナレッジデータベースの作成です。これら3つの課題を解決できるツールとして、AIチャットボットが有効と判断し、導入に至りました。
当初、財務部門では、電話による社内からの問い合わせが非常に多い状況でした。おもに決裁関係に関する問い合わせが多く、決裁システムの入力方法やイレギュラー対応のルールなど、ある程度決まった同質の問い合わせが複数の部署から多数寄せられていました。
Q.導入によって改善された点を教えて下さい。
A.定量的には、月平均で181時間ほどの社内問い合わせへの応対時間の削減に成功しています。いま稼働中のチャットボット5台は、2019年7月にはじめて財務部門へ導入してから、次いで、人事、営業、総務、システムへと導入してきたのですが、累計問合せ対応削減時間としては、約3000時間(2021年6月現在)にのぼります。
社内問い合わせを受けるスタッフの体感をヒアリングしても、4割ほど電話応対件数が減ったとの結果が出ています。具体的には、スタッフ1人当たり、1日5~6件ほどの電話問い合わせを受けていましたが、これがチャットボット導入後、2件、少ない時にはゼロ件の日もあります。
また、弊社は鉄道事業を営んでいるため、平日休日問わず、そして年末年始も必ず誰かが業務を行っています。これまでは、休日に寄せられる社内問い合わせへの対応が難しかったのですが、チャットボットが24時間365日稼働してくれることで、そうした問合せニーズにも応えられるようになりました。
昨今では、テレワークに関する質問が増えた時期もあり、人事部門での問い合わせ対応に、チャットボットがとても活躍してくれました。
Q.他に導入による効果や良かった点はありますか?
A.はい。チャットボットのQAデータの作成を通して、業務における基礎知識の再確認ができることです。社員ひとりひとりの業務に対する知識が必然的に深まることで、個人の業務効率が上がっていると思います。個人の知識量やスキルが伸びることで、組織としてもより円滑に業務が行えるようになると考えています。
また、コミュニケーション不足の解消にも一役買っています。弊社では定期的に異動があるため、常に新しいメンバーとのコミュニケーションが発生します。チャットボットのQAデータ作成を通して、お互いに話す機会ができることで、社内コミュニケーションの促進のひとつのきっかけとなっています。
Q.チャットボット運用チームの状況を教えて下さい。
A.5台それぞれに運用チームがあるため、ひと言では申し上げにくいですが、おおむね1台のチャットボットあたり、1名の管理者と数名のサポート役でチームは構成されています。 メンテナンスの頻度もそれぞれで、日々更新を行うチャットボットもあれば、1か月に1度程度のものもあります。メンテナンスの内容は基本的には、チャットボットが答えられなかった質問やユーザーからの評価が悪かった質問の追記・修正です。
また、弊社ではMicrosoft Teamsの利用を推進しており、その一環として、Teams上に問い合わせチャネルを設けています。ここで受けた問い合わせに関しても、QAデータ化し、チャットボットに定期的に投入しています。より広範にわたり、漏れ落ちなくあらゆる社内問い合わせにチャットボットが答えられるようにするために、社内の既存の仕組みやツールとの連携を考えることも重要だと考えています。