働き方改革の実現に、RPA・チャットボットという選択肢
近年、日本政府が強くプッシュしている「働き方改革」。 しかし働き方改革といっても、何から手をつけていったらよいのか難しいものです。
ここでは働き方改革を推進するいくつかの会社の事例をご紹介します。
働き方改革を実践するには、何が必要?
インターネットプロバイダOCNを運営するNTTコミュニケーションズでは、働き方改革の必要性をこちら(*1)のページで示しています。
この資料にあるデータによりますと、日本の職場は主要国の中で「最も活気がない」とのことです。 また、日本の生産性の順位は年々右肩下がりなのにもかかわらず、労働時間だけは先進国トップをキープしている・・・。
このショッキングなデータを見てみると、以前の働き方の価値観は本当に通用しなくなっているのが実感できます。
では、NTTコミュニケーションズではどのような取り組みで、どのように生産性を上げようとしているのでしょうか。
それは、多様性を許容して社員個人の幸福度、働きやすさを改善し、ボトムアップで会社組織を変えていこう、という、 意識改革と制度上の改革での取り組みです。 育児中などでも働けるようにいつでもどこでも働けるリモートワークといった制度改革を推進しています。 また、より創造的な仕事に人が集中できるよう、近年進歩の著しいAI(人工知能)を活用する、などです。
このNTTコミュニケーションズの資料を見ると、働き方改革を達成するには、社員個人の意識的・価値観的な改革、会社組織の制度、 仕組み上の改革、さらにはそれを支えるための技術的な基盤まで、非常に大規模で複雑な改革が必要なようです。
また、働き方改革は単に社員個人の健康や幸福度などを向上させることが目的ではなく、日本の産業や経済の将来に関わる 改革だということが、よくわかります。 「ウチの会社なら改革はしなくても大丈夫」と思っていたら、とても厳しい未来が待っていそうですね。
RPA導入による働き方改革
働き方改革に実現には、意識や制度の改革は確かに必要なことでしょう。 しかし全ての会社で大規模な改革ができるほど、余裕があるでしょうか。 もっと具体的で手軽に始められそうな改革方法をお探しの方も多いはずです。
ここでは、「RPA導入」による働き方改革を実現しようという事例をご紹介します。
RPA(Robotic Process Automation)とは、コンピュータ上の作業を(ソフトウェア)ロボットに効率化・自動化させよう、 という取り組みのことです。 これまで人為的な操作で時間がかかっていたルーティンワークを、RPAで自動化し時短しよう、というわけです。
もちろんルーティンワークの自動化は、以前からあった取り組みです。 今になってRPAが注目されるようになったのは、近年のAIの急激な進歩によって、自動化できる業務範囲が広がり、 操作手順をロボット(プログラム)に教えるなどのコストも比較的減ってきて、より実用的に使える段階に入ってきたからだと思われます。
その一例としてわかりやすいのが、OCR(文字認識)の精度向上です。 OCRも古くからありましたが、現場で使うには難しいケースも多々ありました。 しかし近年のAIの認識精度や処理の高速化の進歩によって、OCRが現場の実用に耐える領域も増えてきています。
具体的事例としては、愛知県でRPAとOCRの実証実験を行ったところ、集計業務などで最大95%の削減ができたという事例(2)や、 民間企業での問い合わせ業務や書類管理を年間280時間削減した、という事例(3)もあります。
やはり働き方改革にはRPAは有効な手段の一つ、と言えますね。
対人業務でも改革を!
働き方改革を推進するために有効なAI手法は、もちろんRPAのような処理業務以外にも方法があります。 たとえば対人業務について「チャットボット」を採用するといった方法でも、大幅なコスト削減を見込むことができます。
TBSテレビは、CAIWA(カイワ)というチャットボットサービスを導入し、「大幅に業務を効率化することができ」たといいます(*4)。 CAIWAは社内からの問い合わせ、たとえば社内で使っている専用システムの操作方法といった問い合わせに対し、 チャットボットが自動応答し、問題解決の提案をしてくれます。
しかし、こんな意見もありそうです。 「わざわざ高度なAIチャットボットを導入しなくても、従来のFAQなどのナレッジ(蓄積した知識、ノウハウ)を検索した方が 早いんじゃないの?」
従来からFAQのような回答システムは多くの職場で採用されていましたが、せっかく地道にナレッジを蓄積したにも かかわらず、あまり使われていないケースが多くみられます。
理由はいくつかあるのですが、その一つとして、導入から時間が経つと、FAQの管理担当者の人事異動があったり、忙しくなってしまったりします。管理者が不在で運用ルールもないという状況が長く続くと、FAQの情報自体が古くなってしまい利用者が離れていってしまうこともよくあります。
また他の理由として、FAQで調べる場合、何が問題なのかを自分の頭で整理し、どのように検索するかを考えなければなりません。FAQシステムでは人に聞くようには知りたい情報にアクセスすることが出来ないため、結局電話やメールで知ってそうな人に問い合わせてしまうというケースも多くあります。
チャットボットは、これまでに社内に蓄積されてきたデータを活用できますし、新人教育の膨大なコストの削減も可能です。 さらにFAQシステムとは違って、まるで人との対話しているかのように情報へアクセスできるため、問題を解決するために有用なツールと言えます。
働き方改革を実現するには
一口に働き方改革と言っても、具体的にどうすればいいのか、考えなければならないこと、やらねばならないことはたくさんあります。 その中の選択肢として、RPAやチャットボットなどのAI技術を利用した「働き方改革」に取り組んでみるのはいかがでしょうか?